【プロの視点】第9回『投資用太陽光のFIT価格14円へ』〜20年後の出口戦略について

前回の記事では、大まかな「太陽光の見通しについて」をお届けしました。2019年に認定される投資用(産業用)太陽光のFIT価格が14円になるだろうというニュースのインパクトが先行してしまい、事の本質が見えていなかったとインタビュー取材をしながら感じました。

今回は引き続き『投資用太陽光のFIT価格14円へ』の第2回、「表面利回り」についてと「太陽光投資の出口戦略」についてお届けいたします。すでに運用中の方は運用方針が、これから太陽光投資を始める方は投資の見方が変わってくるでしょう。ぜひ参考になさってください。

前回の記事はこちら

太陽光投資の表面利回り維持に重要な3つのキーワード

<前回記事からのつづき>

Q:表面利回り10%の話に戻します。現在までも部材コストは以前より下がっているし、設置費用もあらかた下がってきました。そうなると、これから認証を受けて販売するFIT14円物件の表面利回り10%以上を、どのようにして維持していくのでしょうか?

毎年交渉はしていますが、今回は14円になりそうだということで、再度部材の商社さんと価格交渉をして、部材価格は下げていただいた。工事代については、日本は他の国に比べて高いので、今後下がる余地があるのかなと考えていますが、ただ人員不足があるので強烈には下がらないと踏んでいます。ですから、当社として考えられるのは設備の過積載です。昔は広い土地でも当社では56kWくらいが主流だった。それを過積載にすることによって、今は平均80kWを超えているので利回り10%以上を維持することができています。今後は90kW、100kWが当たり前に出てくると思います。

松本社長

そのほか、今はまだ試験段階ですが蓄電池を接続したらどうなるのかということも行なっています。太陽光から蓄電したものは逆潮流(*1)しても良いとなっているので、制度的には問題ない。逆に国も電源の安定供給ということを考えると「太陽が照っていない時も電源供給が必要だ」としているので『産業用太陽光+蓄電池』は自然な流れなのかなと思います。そこで現在進行しているのは「何kWの発電設備に何kWの蓄電池が必要なのか」ということを蓄電池メーカーさんと協議中です。その数値が出てきたら、実際に太陽光に蓄電池をつけて実数計測するという運びになるでしょう。そんな形で発電所もどんどん進化していくじゃないかなと思う。シミュレーションでは蓄電池を入れることでお客様の投資利回りも安定していき、当社もそれなりの利益を確保できることになります。

松本社長

Q:もちろん日照条件などいろいろ関わってくるとは思いますが、蓄電池の件は出力抑制の部分にもプラスに作用してくるので、投資家にはリスクヘッジの1つのツールとしてもご理解いただけるのではと思います。

(*1)逆潮流とは

太陽光発電所、自家発電設備などから連系された電力会社の系統に電気を流すこと。電力会社から一般家庭や法人などの需要家へ送電することを「潮流」ということから、電力会社へ向かって流れる電気を「逆潮流」と呼ぶようになった。

脱FITが進むと「FIT価格で電気を売る=太陽光投資」でなくなる

Q:過積載物件に蓄電池を試験完了後に搭載する。そのような汎用性を考えられるような物件が、FITが14円に下がっていっても利益を埋める物件であるということですね。

安定電源、安定供給という点でいうと当社では「ダイレクトパワー」(*2)を設立しますから、弊社からご購入いただいた太陽光投資家の発電所から、ダイレクトパワー側で電気を買うという想定をしています。そうすると小売電気事業者として「ダイレクトパワー」が発電所側の発電量を予測しなければならないし、需要家の需要も予測しなければいけない。蓄電池がそれらのバランスを取るコントローラーになるので、そういった部分でも重要な位置を占めるようになります。

松本社長

Q:太陽光投資の出口戦略として、ひとつはダイレクトパワー。もうひとつが欧州、とくにドイツで主流になっている直接電気を買い付ける方法(P2P)になるということですね。

間違いないです。

弓削部長

(*2)ダイレクトパワーとは

メディオテックグループの株式会社ダイレクトパワーが開始する、ブロックチェーンをはじめとする最先端IT技術を駆使した新電力サービス。サービスインは2019年4月の予定。サービスイン当初は一般家庭向けにJEPX(日本卸電力取引所)から仕入れた価格で電気を販売する事業を、2019年11月予定で今年発生する一般家庭の卒FIT太陽光発電から電力を買い取るサービスを始めます。

そののち、脱炭素社会や「RE100(*3)」を意識した法人様向けサービスとして、FITに依存していない(FIT依存20年間を終了したものも含む)再生可能エネルギー発電所から電力を買い取り、買い取った電気を法人様へ供給。その証明にブロックチェーンを用いるサービスを準備中です。ブロックチェーン技術を採用することで、さらにその先のP2P取引へも繋げられる可能性を持ちます。
詳細・お問い合わせはこちらから
https://direct-power.jp/

(*3)RE100とは

R(Renewable) E(Energy) 100(persent)の略で、イギリスに本拠地をおくNPOが主導する環境イニシアチブ。事業で使用する電力を再生可能エネルギー100%を目指す企業連合で、日本企業では「SONY」「リコー」「富士通」などが、海外の有名企業も「バンク・オブ・アメリカ」「アップル」「マイクロソフト」などが名を連ねている。全世界で160社以上(2019年2月現在)が参画している。

太陽光投資の表面利回り計算は20年。でも20年後も運用可能

Q:投資用太陽光の卒FITは2032年からとなると、あと13年あります。ダイレクトパワー、蓄電池のさらに先が出てくる可能性がありますね

弊社から太陽光投資物件を買われる方には、基本的に「20年後も自社で電気を買い取りますよ」とすでに案内をしています。

松本社長

Q:20年経ってFITが終わっても、電気を買い取る業者は絶対いますね。

現状、(住宅用余剰売電の)卒FITが11円とか言われているくらいですからね。

松本社長

Q:FIT開始(2012年)当初は、その考えはまだなかったですよね。「20年経ったらどう撤去しよう」とかいう話くらいで。

先日の「資産運用EXPO」でも業者さんはいっぱいありましたけども、今もどこも具体的な話はそれほどないですね。

弓削部長

Q:20年のFIT買い取り期間後、さらに10年間であれば、電気事業者が10円でも8円でも、5円でもいいから買い取れば、投資家には利益がでますね。

パワーコンディショナーは壊れる可能性があるので、さすがに交換する必要があるけれども、パワーコンディショナー交換費用くらいは利益が出ると思います。

松本社長

パワーコンディショナーは今相当安くなっていますからね。

弓削部長

現状で弊社がFIT14円が限界だと仮定すると、14円から15円で買い取れるなと思っています。これに託送料金と「自然エネルギー」というプレミアムをつけても合うと思います。

松本社長

Q:太陽光発電所の土地が売買なのか、賃借なのかでも変わってくると思いますが、メディオテックの物件の土地は売買が多いですか?

そうですね。9対1くらいで、売買が多いです。

弓削部長

発電所の土地が賃貸のお客様も、FITの期間に合わせて弊社が販売時に20年と言っているだけですからね。地主さん自体がその土地を必要としていないんですよね。

松本社長

Q:地主さんが必要としていないのであれば、そのまま再契約ということができそうですね

そうなると思うんですよね。土地の使いみちがないので。

弓削部長

そのときどうなっているかはわからないけれども、もし投資家のお客様に「20年終わったから処分して」って言われて、太陽光としての機能が備わっているなら、弊社が無料で引き取る形で応じると思います。逆に、お客様にそのまま発電所を維持してもらえるのであれば電気を買い取る。維持も全部任せるということであれば、当社で維持管理をして発電所として運営して行く形になります。

松本社長

Q:太陽光投資が始まった当初の「20年後どうしよう」という悩みを持つ必要がなくなりますね

そうですね。弊社じゃなくても絶対どこか別の会社さんが買うので。先日開催された「ENEX(地球環境とエネルギーの調和展)」でも他社さんが出展していました。
そのケースは相対で高圧の価格を決める。例えば「普通の電気料金を1kWhあたり15円でやります。ただこれは太陽光なのでプラス2円ください」という契約を結ぶ。それで成り立つんですね。そのビジネスモデルが増えてきています。パンフレットには「FITに依存しない」と明確に書いてありましたから。

松本社長

卒FIT, 脱FIT, PPA…新ビジネスから見えてくる太陽光投資の未来

Q:そうなるとFITがなくなっても太陽光が、投資用商材として残る可能性は十分にありうるということですね

ありえますね。

松本社長

ーー投資物件の支払いが終わったあとは、売電分が全て収入になりますからね。

それと同じようなモデルケースとして、屋根の上に太陽光を建てるものはまさしくそうです。個人投資家ではないが、投資する人がいて無料でパネルを供給し、無料で工事もする。そこに屋根を貸す人がいる。このケースもPPAと言われているので、我々のケースはそれの産業版だと言えますね。なんの変わりもないです。

松本社長

僕もお客さんと話すときにFITの20年は安定しているので、「赤ちゃんから大人」になるまでの期間のような感じで、安定した収入を得ていただいて、楽しみは「子供が巣立ったあと」から先だということを話しています。
「20年以降どう稼げるのか?」ということを、大人になって巣立っていく発電所を楽しみにしてくださいということをお伝えしてます。出口戦略としてダイレクトパワーの話にも繋がってくるので、お客様は非常に興味を持っていただいているけど、具体的には「まだ待ってください」といっています(笑)。結構期待していただいていますね。

弓削部長

Q:20年後と言わず、FITが7、8円まで落ちてくるまで間に、いろんな方法で投資商品として様変わりして行くイメージですね。FIT14円というよりも20年後以降の出口戦略の方が、今運用している人にとっては気になるところですね。

実際に運用されている投資家さんはそうですね。だいたいお客様と話していて、特に30代、40代の人が20年後のことを気にしていますね。

弓削部長

投資家さんがほかの太陽光も管理してくれればいいと思います。住宅用太陽光と同じように、投資用太陽光もものすごい数があるので、そこでまた新しいビジネスが生まれると思います。

松本社長

ーーFITが14円に下がることよりも、もっと重要な情報をお聞きすることができました。ありがとうございました。

編集後記

2回に渡ってお送りしました『投資用太陽光のFIT価格14円へ』について、いかがでしたでしょうか。災害などの突発的リスクは別として、これだけ先が見えて未来のあるストック型の投資商材は他にないと思います。それはFIT価格が下がってきたからこそ、生まれてくる新しいビジネスチャンスでもあります。

物件評価額の変動や空室リスクを負う可能性がヘッジできない不動産投資などよりも、未来や社会貢献度があるとも言えます。「太陽光投資=20年間の売電収入」だけで投資をお考えだった方は、ぜひこの機会に見直していただければと思います。

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