20年後「固定価格買取制度(FIT)」が終了したら太陽光発電投資はどうなるのか?

20年後「固定価格買取制度(FIT)」が終了したら太陽光発電投資はどうなるのか?

太陽光発電投資の利益の礎である「固定価格買取制度(FIT)」は、20年間の買取価格を保証してくれていることは、別の記事でご説明しました。では、その20年が過ぎたとき、果たしてどのようなことが待っているのでしょうか。いかんせん、20年経った物件がないので、太陽光発電投資を取り囲む環境などから、推察していこうと思います。

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太陽光発電を含む再生可能エネルギーの推進は大事な国策

資源エネルギー庁のウェブサイトには、このように記述されています

太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスといった再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネルギー源です。

引用元:資源エネルギー庁

再生可能エネルギーの定義

 
エネルギー供給構造高度化法において、再生可能エネルギーとは太陽光発電、風力発電など非化石燃料エネルギーのうち、永続的に利用できると政令で認められたものを指します。具体的には、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、水力発電、地熱発電などのことです

以前の記事「改正FITに記載された「出力抑制」で、本当に太陽光投資の利益が削られるのか?」で、日本は輸入依存の火力発電が中心の、エネルギー事情であるということを書きました。それが上に出てきた「エネルギー安全保障」に関わっているのです。

つまり、有事の際に発電の素材となる石油やガスなどの輸入を差し押さえられたら、日本のエネルギー事情は崩壊するということです。

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そんな事態に陥ったら、国内大混乱は必至。そうならないためにも再生可能エネルギーを推進し、エネルギーミックスのバランスを火力偏重から変えていこうという動きが、現在の国策になっているのです。

2030年以降、太陽光発電の売電単価は一桁になる可能性?

国策なので太陽光発電自体なくなりはしないと明言できますが、売電価格は年々減少の一途なのはご存知のとおりです。現状はそれでも利回りが10%前後なので、投資商品として魅力は充分にあります。

なので、今年から20年間売電を始めても利益はあげられますが、2038年に売電が終了した際に、どのように扱われているのでしょうか。順当に考えていくと1円2円などになるのではと考えられますが、それではちょっと安すぎます。

価格目標について

FIT法改正により、電源毎に中長期的な価格目標を設定することとななっており、これを通じて事業者の努力やイノベーションによるコスト低減を促すこことしている。具体的な木曜は以下のとおり。

<太陽光>
・FITからの自立を目指し、以下の水準を達成。
・非住宅用太陽光:2020年で発電コスト14円/kWh、2030年で発電コスト7円/kWh
・住宅用太陽光:2019年FIT価格が家庭用電気料金並、2020年以降早期に売電価格が電力市場価格並

<風力>
・20kW以上陸上風力:2030年までに、発電コスト8〜9円/kWhを実現、FITから自立した形での導入を目指す
・20kW未満の小型風力発電:導入動向を見極めながら、コスト低減を促し、FITからの中長期的な自立化を図る
・洋上風力発電:導入環境整備を進めつつ、FITからの中長期的な自立化を図る
(以下、省略)

資料出典:資源エネルギー庁 http://www.enecho.meti.go.jp/

国策であるという点を考慮して、1円2円などのひどく安い価格になるとは考えにくいです。改正FIT法の資料によれば、国は「FITからの独立を目指し」2030年には7円程度になるように目標値を設定しています。そこが底値と予想されるのではないかと思います。

FITの固定価格買取制度終了後、売電価格が7円程度で利益ある?

『「FITからの独立を目指し」2030年には7円程度になる』と予想される売電価格ですが、今太陽光発電投資をしている人はFITの固定価格買取制度終了時には減価償却も済み、10%の利回りで運用したとすれば、後半の10年分は投資の利益として上がっていますから、太陽光発電設備が稼働するのなら問題がなければ、それほど飲めない話ではなさそうです。

メンテナンス費用や保険費用も同様です。投資用(産業用)太陽光発電施設の設置量が増加していれば、メンテナンス業者の数も増え、保険商品も増えているはずです。一般的な市場原理を考えれば、それらの価格も下がっていると思われ、額面的には圧縮されても利益率が大きく落ちることはないと考えられます。

ここまでのことで考えると、太陽光投資そのものを始める時期で悩んでいる方は、なるべく早い時期にスタートするほうが、利回りなどが有利になることは明白です。逆に後になればなるほど設備にかかる費用が安くなってくることを考えると、安い初期費用で初められるようになる利点もありそうです。

太陽光発電投資を借地で始めた場合、土地の返還が基本になる

ただし運用開始時に土地を買わず、借地で運用を始めた方は返還義務が生じます。その更新料は土地や所有者によってさまざまなので予測しづらいですが、更新料を払ってもペイできるのであれば、しばらく売電を続けてもいいかもしれません。

逆に、土地を購入して始めた場合は、評価額次第で売却益が上がる可能性もあります。この場合は、20年間の周辺環境の変化と立地条件次第ということになるので、評価額上昇を見込んで購入するのは難しいかもしれません。

借地の場合に話を戻すと、返還を申し出られた場合は、太陽光発電施設をバラさなければならなくなります。そうなった場合は、太陽光パネル、架台、ケーブルにフェンス、もろもろの部材を廃棄するのか、売却するのか、リサイクルに出すのか、それぞれ選択に迫られることになりそうです。

太陽光発電施設の部材は、リサイクルができるようになるのか?

リサイクルなどに関しては、すでに答えが出ています。まずはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)において、「太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト」が始動しており、毎年多くの予算が割かれています。

そもそも再生可能エネルギーの代表格である太陽光発電ですから、その部材を処理するにあたって環境に良くない手法が取られてしまっては、意味がありません。この部分がクリアになることで、太陽光発電が促進され、太陽光発電投資にもいい影響を与えると思います。

NEDOのプロジェクトでは、低コストでの撤去や回収、発電所部材の分別技術、低コストリユース技術の研究開発や調査を行っており、このプロジェクトによって、一般企業でのこれらの開発が推進されるということになります。

一般企業も推進中。2030年代にはさらに太陽光発電施設のリサイクル技術が期待できる

たとえば、太陽電池モジュール製造装置シェア世界一の「NPC」では、他企業と協業で廃パネルのリサイクル設備が稼働しており、ガラス素材と太陽電池との分離を行い、ガラスや銀へリサイクルすることに貢献しているところです。

また太陽光電池モジュールとそれに付随するツールを、引き取って再生しリユースを行うために、正常に稼働するものであれば25年経っていても買い取ってくる仕組みを運営する企業もすでにありますので、これが2030年ごろにはスタンダード化していることでしょう。

こういう状況を見ても、リサイクルの仕組みが稼働している上、さらに研究開発が進めば、20年後には非常に安価に処分、もしくは部材ごとに買い取られてリサイクル処分ができることになると予測されます。撤去費用がかさんで、せっかく作ったキャッシュフローが激減するということにはならなそうです。

20年超の太陽光発電投資施設を中古物件化することができるのか

中古物件に関してもすでに発生しており、市場では売買されています。ただ、FITで定められた固定価格買取制度が終わった20年を過ぎた後の中古物件は、まだ出るには14年ほどありますので、明確なことが言えないのが実情です。

おそらくですが、太陽光発電につかうパネルの耐用年数が25年〜30年程度なので、20年売電後に中古化しても、投資目的としてはなかなか買い手はいないと予測されています。そうすると前項で紹介したようなリユースやリサイクルになるというのが有力ということです。

ではその前に投資用太陽光発電設備を売却したいと考えた場合は、一度査定されることをおすすめします。発電履歴や発電設備の状態によってなので、明確なことは言えませんが、BER(損益分岐点)を割っていなければ相応の査定額を提示されると思います。

投資用太陽光発電施設をどうするかということは、売電開始20年後に慌てて失敗するよりも、事前にある程度のことを想定して、できるだけリスクヘッジを取りましょう。「はつでん」でも、今後の動向はその都度お知らせしていきたいと思います。

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