固定価格買取制度(FIT)の仕組みと最新の価格

太陽光投資で利益の要になるのが「固定価格買取制度」(Feed-in Tariff  以下:FIT)です。「固定価格買取制度」とは発電した電気を国が20年間、固定(同じ価格)で買い取ってくれる制度のことで、電気を買い取ってもらうことで収益を生み出すのが太陽光投資なわけですから、この「20年間」、「固定の価格」で買い取ってもらえることがポイントです。なぜなら固定価格でないと将来に渡っての収益が読めず、結果不安定になり、投資商品としてはリスクが大きくなるためです。

ではこの固定価格買取制度とは、具体的にどのような制度で、どのようにして収益をあげるのか、太陽光投資の構造を紐解いてみましょう。

FITと太陽光投資で生まれる収益の関係

そもそもは「再生エネルギーでの発電促進」を目的とした制度で、2012年以降は国が定める価格において、電気事業者が太陽光を含む再生可能エネルギーで発電された電気を買い取る制度のことです。

日本では2009年に太陽光発電で作られた電力の買い取りが全国一律の価格となり、さらに2012年7月に風力などの太陽光以外の再生可能エネルギーも対象が拡充されました。それと同時に今までは家庭の屋根に設置された太陽光パネルで発電し使用した余り(余剰電力)の買い取りだけだったものが、発電所などで発電された全ての電気を買い取る「全量売電」がはじまりました。

政府としては再生エネルギーの供給や導入拡大と発電設備価格の低減を目指した政策でしたが、「全国一律価格」「全量売電」「20年間固定」の要素が加えられたことにより、投資による収益があげられる図式ができあがり、太陽光が投資商品化されました。

FITの仕組みと収益の基礎

太陽光投資で利益があがる基礎になる「FIT」ですが、どのような仕組みで売電価格が決められているのでしょうか?

それはもちろん国が決めているのですが、細かくいえば経済産業省(以下:経産省)管轄で有識者を集めた「調達価格等算定委員会」で議論検討されて、経産省が決めています。

その仕組みで毎年改定されており、2018年の産業用太陽光(経産省資料では非住宅用太陽光<10kW以上2,000kW未満>と定義されている)売電価格は18円+税/kWhと決定されています。この「18円+税/kWh」という数字が太陽光投資の利益を計算する基になります。

1kW(=1000W)を1時間売電すると18円+税で買われるということです。

収益の素。投資物件の売電価格の決まり方

FITの売電価格は毎年変更されていますが、物件に対してFITが決まるのは、運用開始前に申請をして受理されたときの買い取り価格で決まります。

詳細は下の「改正FIT法と太陽光投資への影響」でご説明しますが、2018年度中に各種認定を受けた施設で売電を始める方は上に書いた通り「18円+税/kWh」ということになります。

改正FIT法施行以前は、数年さかのぼった売電価格で認定を受けた設備を多く見かけましたが、それは過去の売電価格設定時に認定だけ受けて「寝かせていた設備」または土地で、プレミア化するのを待っていたもので、業者間で権利の売買が横行するなど、トラブルを引き起こすことも少なくありませんでした。

またそのような案件が増加していくと、運用開始時期が同じなのに、売電価格に有利不利が生まれて不公平になったり、国民負担(再生可能エネルギー発電促進賦課金=2018年の東京電力管内では、家庭用で2.90円/kWhが1契約ごとに電気代に上乗せされている)が増加することになります。なので、国もそのような運用することを抑止するためにFITが2017年4月に改定されました。

現在運用されている改正FIT法はどのようなもので、太陽光投資の収益性にどのような影響を与えるようになったのでしょうか?

改正FIT法と太陽光投資への影響

2012年に一度改定されたFITですが5年弱の運用で、不公平さや国民負担増加などいろいろと問題点が出てきました。それを踏まえて2017年4月にFIT法が改定されたのです。売電価格は毎年改定されていますが、それとは別になにが変わったのでしょうか。

1.新認定制度の導入

以前の売電価格で認定を受けた物件が運用されておらず、未稼働のままになっているものが増加したことへの対応として、認定制度が変更されました。

① まず大きく変わったのは認定に対する要件です。FIT法改正前は設備に対しての認定(設備認定)でした。多くの場合は土地が準備できた時点で申請をし、認可を受ければよかったのです。しかしそれらを何年も寝かせる業者が跡を絶たず、多くのトラブルが発生する事態になりました。

そこで、改正後は設備を設置後に一旦電力会社と送電設備と接続してもらう「接続契約」をしているかいないか、つまりは事業として運用されるかどうか(事業計画認定)に変わりました。これによって、認定を受けたにも関わらずいつまで経っても運用が始まらない設備を減少させることができました。

② 認定取得後に結ばれる「特定契約」とは電力を買い取ってもらう契約ですが、ここの対象業者が「送配電業者」に限られるようになりました。

ーー送配電業者とは自由化前に電力を供給していた、送電線、変電所、配電線などのインフラを所有している業者で、北海道電力、東北電力、東京電力パワーグリッド、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力を指します

変更された理由は「電力の自由化」です。送配電業者に売電された電気は、電気の取引市場(スポット市場)へ出され小売電気業者(東京ガスやソフトバンクのような業者)に買い取られ、契約者へ送電される仕組みです。

③ 運営開始までの期間も設定されました。全量売電ができる10kW以上の出力を持っている施設は、「事業計画認定」(もしくは「みなし認定」=改正時の過渡期に発生したもの)後、認定日を1日目として、3年以内に発電を開始しないと、MAXで20年間ある買い取り期間が短縮されてしまいます。

つまりどんなに収益性のある物件でも、3年以内に運用がスタートできないと利益が目減りしていってしまうことになるので、注意が必要です。

④ 発電設備の変更については柔軟性が設けられました。改正前は、運転開始前に使用する太陽電池のメーカーを変更したり種類を変更すると、変更した時点の売電価格に変更されることになっていましたが(例えば2015年価格の設定時に運用開始し、2016年価格の設定時に変更した場合、2016年の売電価格に適用が変更となる)、FIT改正後は運用開始したときに認可されたものを継続して適用されることになりました。ただし、出力の増加は以前と変わらず変更後の価格が適用されます。

旧ルール 新ルール
運用開始前 運用開始後 運用開始前 運用開始後
太陽電池のメーカー変更 変更あり※1 変更なし 変更なし 変更なし
太陽電池の種類の変更 変更あり※1 変更なし 変更なし 変更なし
太陽電池の変換効率低下 変更あり※1 変更なし 変更なし 変更なし
出力の増加 変更あり※2 変更あり※3 変更あり※2 変更あり※3
10kWかつ20%以上の出力の減少 変更あり※2 変更なし 変更なし 変更なし

(注)「変更あり」については、接続契約(または変更契約)の締結日または変更認定時のいずれか遅い日が属する年度における調達価格が適用される。「変更なし」については、変更認定に伴って調達価格の変更はない。
※1 メーカーが当該種類の太陽電池の製造を行わなくなった場合又は10kW未満の発電設備の変更の場合は、調達価格の変更はなし
※2 電力会社の接続検討の結果を受けて出力を変更する場合又は10KW未満の発電設備の出力増加であって、変更後も10kW未満の設備である場合は、調達価格の変更なし
※3 10kW未満の発電設備の出力増加であって、変更後も10kW未満の設備である場合は、調達価格の変更なし

出典元:資源エネルギー庁

2.調達価格設定の仕様変更

売電価格の設定が変更されましたが、太陽光投資に関わる物件(10kW以上/2000kW以下)では従来どおりの決定方法になっています。ちなみに10kW以下の家庭用は3年ごとに設定され、2000kW以上のメガソーラー発電については入札制に変更されました。

3.出力抑制の細分化

改正されたのが2017年ですから、現時点で太陽光投資を検討されている方は、全て改正FIT法が適用されることになります。認定方法の変更や、運用開始時期にリミットがもうけられた点はとくに注意が必要ですが、さらにもうひとつ重要なポイントが「出力抑制」です。出力抑制とは、電力会社が需要と供給のバランスを見て、電気の買い入れをストップすることをいいます。

「出力抑制」については、「プロの視点」で詳細を説明しますので、そちらも合わせてご覧ください。

【プロの視点】第2回『太陽光発電投資のリスクと出力抑制について』

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