九州で太陽光発電しすぎ問題とは?太陽光投資と出力抑制の関連について

九州で太陽光発電しすぎ問題とは?太陽光投資と出力抑制の関連について

どんな投資をするにしろ、投資を行う際はメリットだけでなくデメリットを押さえておく必要があります。

太陽光投資に関しては、その安定性や収益性などのメリットばかりに目が行きがちですが、当然デメリットもあります。今回はその中でも「出力制御」について、2018年に実際に起きた事例を基にして考察していこうと思います。

太陽光発電の主なデメリット

まずは太陽光投資を始める際に頭に入れておくべきデメリットを簡単に紹介します。

太陽光発電の主なデメリット

1.発電量が天候に左右される

太陽光発電は、太陽という自然エネルギーを相手にするものです。天候不順などで日照時間が少ないと、どうしても発電量が少なくなるので、収入も減少するリスクがあります。また、台風や大雪などの自然災害によって、システムが壊れてしまうリスクもあります。

2.20年間の買取期間終了後が不透明

再生可能エネルギーの固定価格買取制度により買取りが保証されているのは20年間です。よって、その後の買取価格がどうなるかが不透明です。

3.メンテナンスにコストがかかる

太陽光パネルの定期点検や清掃などのメンテナンス(O&M)を業者に依頼すれば自分自身で管理する手間は省けますが、外部委託のコストがかかります。また、太陽光パネルは消耗品ですから、30年くらい経過すると太陽光パネルの交換が必要になります。

4.出力制御(出力抑制)

出力抑制とは、電力の供給が増加し需要を上回ってしまう場合、電力の安定した供給のため、電力会社が発電設備から電力系統への出力を一時的に停止あるいは抑制することをいいます。

大きく分けると以上の4つのデメリットに分類できますが、今回は4の出力制御について詳しく解説していこうと思います。

なぜ出力制御しないといけないの?

そもそも、発電した電気は貯めておくことが出来ません。作られた電気はその都度どこかに送られて消費しています。したがって需要を大幅に超える電力供給は大規模な停電等のトラブルにつながる恐れがあるため、安定した電力供給のためには、電力会社は需給バランスを保たなければなりません。

【北海道で起きた大規模停電】

2018年9月6日に発生した「北海道胆振東部地震」の影響で、北海道最大の火力発電所が緊急停止してしまいました。これによって電力の需給のバランスを失ったため周波数が乱れてしまい、道内全域が停電するという事故が起きてしまいました[/alert]

このような事故を防ぐために、使う電気量と作る電気量を常に一定に保つことが電力会社の大切な役割なのです。その対処法の中でも、電力会社が発電設備からの出力(電気供給)をコントロールする制度が「出力制御」なのです。

全国初!九州で出力制御!

基本的に需給のバランスが大きく崩れることはないので、出力制御は緊急時のみの特別措置として国が認めていますが、今回はそれが起こる事態になりました。

2018年の10月、九州電力は離島以外では全国初となる、一部の太陽光発電の一時停止を求める「出力制御」を実施しました。

九州の送電網につながる約2万4000件の太陽光発電事業者のうち、9759件を遠隔操作で送電線から切り離すことになったのです。10月13日に初めての出力制御が行われてからは立て続けに実施されてきました。

九州電力は「特に供給力が需要を上回る昼間帯に、自然変動する太陽光・風力の出力に応じて当社火力等を抑制し、揚水動力を活用するなど、従来と大きく異なる電源運用を行うことにより、需要と供給力のバランスを維持し、安定供給を図っております」としています。

再生可能エネルギーを国が推奨しているにも関わらず、太陽光発電の出力制御を行わなければいけなくなったのは異例の事態で、国民からさまざまな声があげられました。

どんな背景で実施されたのか?

ではなぜ九州電力において、日本ではじめての出力制御が行われたのでしょうか。

実は九州本土では、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギー発電設備の導入が急速に進んでいます。2018年8月時点では、九州電力管内の太陽光発電の出力は807万kWに達しており、天気次第では825万kWの需要量のほとんど全てを太陽光で賄っているという状況にまでなりました。



(数値は九州電力ウェブサイトより)

グラフを見ていただくとわかるように、ここ10年で太陽光による発電量は約25倍と急激に加速しています。このまま発電を続けてしまうと、エアコンが必要なくなる10月の時期は、需要量を大幅に上回る可能性が高いとされて、太陽光発電を抑えなければいけなくなったのです。

今後もこのような要因から積極的に抑制が行われることが予測されます。九州だけでなく、太陽光物件が急速に増えてきている地域に関しては注意が必要です。

出力制御されたら投資家はどうしたらいいの?

出力制御が行われれば、当然収益に影響を及ぼします。見込んでいた売電収入に届かない可能性が出てくるわけですから、出力制御を織り込んだ収支計画が必要になってきます。

ではどのような対策を取ることができるのでしょうか。ここでは2つの対処法を紹介します。

出力抑制保険を利用する

最近は「出力制御に」対する保険を販売する会社も出てきました。この保険の補償内容は自然災害による機械の破損や発電できなくなった場合の売電利益補償なども含まれている場合があるため、販売業者に相談してみることをオススメします。

ルールの厳しい地域(九州など)以外の地域で太陽光投資を行う

同じ規模であっても地域によっては、「出力制御」の対象外となるからです。
詳細をみてみましょう。

多くの地域が10kw未満の太陽光設備も出力制御の対象になってしまいます。しかし、東京電力、中部電力、関西電力管内では50kW未満の発電設備まで対象外となっています。

〜10kW 10〜50kW
東京・中部・関西 出力制御の対象外 出力制御の対象外
北陸・中国

平成27年4月1日以降に接続申込みをする案件から360時間ルールを適用。
ただし、接続可能量超過後に接続申し込みをしたと認められる案件からは指定ルールを適用。※1※4

平成27年4月1日以降に接続申込みをする案件から360時間ルールを適用。
ただし、接続可能量超過後に接続申し込みをしたと認められる案件からは指定ルールを適用。※1※4

四国・沖縄 平成27年4月1日以降に接続申込みをする案件から360時間ルールを適用。
ただし、接続可能量超過後に接続申し込みをしたと認められる案件からは指定ルールを適用。※1※4
平成27年1月26日以降に接続申込みをする案件から360時間ルールを適用。
ただし、接続可能量超過後に接続申し込みをしたと認められる案件からは指定ルールを適用。※2※4
北海道・東北・九州 平成27年4月1日以降に接続申込みをする案件から指定ルールを適用。※1※3※4 接続可能量超過後に接続申し込みをしたと認められる案件からは指定ルールを適用。 ※3※4

360時間ルール360時間を上限とした時間単位の出力制御
指定ルール上限を超える出力制御

※1 平成27年3月31日までの接続申し込み案件は、出力制御の対象外。
※2 平成27年1月25日までの接続申し込み案件は、原則出力制御の対象外。ただし、電力会社の系統の状況によっては1月25日以前の接続申し込み案件であっても、360時間ルールの対象となる場合もあるので、詳しくは各電力会社にお問い合わせください。
※3 北海道電力、東北電力、九州電力については、既存の接続申込量で接続可能量を超過しており、360時間ルールの対象案件が想定されない。
※4 いつ時点の接続申し込み案件から「接続可能量超過後に接続申し込みをしたと認められる案件」となるかについては、各電力会社にお問い合わせください。
(資源エネルギー庁ウェブサイトより)

このように出力制御に関しては、いろいろと複雑なルールがあります。詳しい解説はこちらを確認してみてください。

改正FITに記載された「出力抑制(出力制御)」で、太陽光投資の利益が削られるのか?

メディオテックで販売している物件は主に低圧(~50kW)であるため、出力制御が起こる可能性としては低いですが、地域によっては抑制条件が満たされてしまう可能性があります。特に北海道、東北、九州に関してはこれから契約をする際に接続可能量が超過してしまうことがあります。購入をご検討の際にはそこも考慮した上でのご検討をオススメします。

【接続可能量とは?】

接続可能量とは電力会社が接続可能な発電施設の数(単位はkW)のこと。これは供給が需要を大きく超えないために設定する基準値で、最悪の場合でもすべての発電施設が時間単位の出力制御を上限(360時間)まですれば需給のバランスが取れるように設定されている。もし接続可能量を超えた発電所に接続をするのであれば、出力制御の対象条件が変わってくるので注意が必要(上図を参照)

出力制御を考慮した物件選びに関してはこちらの記事を参考にしてみてください。

【プロの視点】第2回『太陽光発電投資のリスクと出力抑制について』

これら以外の対処法としては太陽光システムに蓄電池を搭載するというものがあります。しかし、これはまだ試験段階であり、将来的に現実味を帯びてくる技術と言えます。この技術は簡単に言うと、日中に発電した電力を夜間まで貯めておくことができるもので、太陽光発電の短所である「夜間に発電できない」という欠点を補うため、大いに活躍する技術です。

投資家の方々はこのような対処法があることを頭に入れた上で、より良い物件選びをしていただきたいと思います。

今から太陽光投資を考えている方は、電力会社や太陽光システムの販売会社などにその内容を確認するとともに、「出力制御」というリスクについても十分考慮したうえで、太陽光投資を始める地域や規模を検討してみてください。

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