改正FITに記載された「出力抑制(出力制御)」で、太陽光投資の利益が削られるのか?

太陽光投資は、太陽光発電で作られた電気を売って、利益を得る。株や不動産投資のような価格が変動するものよりも安定した収益性のある商品ということは一番初めの記事「太陽光発電投資の仕組みと収益性〜どうやって利益が出るのか?」で書いた通りです。

太陽光発電投資の仕組みをわかりやすく徹底解説!

でも前の記事の最後で出てきた「出力抑制(出力制御)」というワードですが、「抑制」「制御」という言葉を見る限り、なにか利益を圧迫されそうな感じがします。この記事では、「出力抑制」で一体どのような制御が行われていて、投資にどう影響しているのか詳しく説明していきます。

出力抑制の内容と太陽光投資

読んで字のごとく、電気の出力を抑えるのが「出力抑制」です。太陽光発電設備で生産された電力は、契約先の電力会社が買い取ってくれるものですが、買い取りを一時的に止めるという話です。

電力会社は需要と供給のバランスを見ながら電気を発電、送電しています。バランスが崩れると大停電などを起こして大変なことになってしまうからです。そこで「電力の需要が低いときや、逆に需要が高いときでも供給過多のときには、ほかからの電気を買い入れることは止めたい」ということになります。

そこで各電力会社は、一時的に買い入れをストップする。その制御システムが「出力抑制」です。「そんなことされたら、利益が上がらないじゃないか」と考えるのが普通ですが、太陽光投資の利益にはどのような影響を与えるのか詳しく見てみましょう。

出力抑制と他の発電施設との関係

太陽光発電が太陽を浴びて発電するのと同じように、他の発電施設にもそれぞれ特徴があります。例えば火力発電のように石油や石炭、ガスを燃やして出力をする比較的スムーズに始動できるものもあれば、水力発電のように水を貯めてから出力するものや、原子力発電のように一定の基準を維持し続けて発電しているものがあります。

電気の需要と供給のバランスを見ながら発電したり電気を買い入れたりしている電力会社は、発電所の発電管理をするにあたって、それぞれの特性を見ながら停止したり、出力したりしているのです。

なので、出力抑制とひと言で言っても、電力会社が単に「太陽光発電の買い入れしたくないから止める!」という意味ではないのです。抑制される順番はそれぞれの発電施設の特性を鑑みて設定された「優先給電ルール」に則って進められます。優先給電ルールは下の通りになっています。

  1. 一般送配電事業者があらかじめ確保する調整力(火力発電などの「電源Ⅰ」)及び一般送配電事業者からオンラインで調整ができる火力発電等(電源Ⅱ)の出力抑制
  2. 一般送配電事業者からオンラインで調整ができない火力発電など(電源Ⅲ)の出力抑制
  3. 連系線を活用した広域的な系統運用(広域周波数調整)
  4. バイオマス電源の出力抑制
  5. 自然変動電源(太陽光・風力)の出力抑制
  6. 電気事業法に基づく広域機関の支持(緊急時の広域系統運用)
  7. 長期固定電源の出力抑制

上の表をわかりやすく書き直すと下のようになります。
火力発電▶揚水発電▶大型バイオマス発電▶太陽光・風力▶原子力・水力・地熱

図式の最後に来ている原子力や地熱などは「長期固定電源」と呼ばれる部類ですが、一旦止めてしまうと発電まで時間がかかり(原子力関係のニュースでよく聞く「再稼働」というやつです)、出力と停止を繰り返すには不向きな電源です。逆に火力発電は、燃やすことを弱める・強めるということができるので(お家にあるガスコンロなどをイメージしてみてください)、優先的に調整されます。

下の資料で一目瞭然のように、火力発電が中心の日本の発電事情を考えると、よほどのことがない限りは太陽光発電まで出力抑制の制御対象とされることは考えにくいということです。

出力抑制と他の発電施設との関係
資料出典:経済産業省

改正FIT法と出力抑制の関連性

とはいえ、別の記事「わかりやすく説明します!固定価格買い取り制度(FIT)」のなかで、改正法と出力抑制は関係があると書きました。では太陽光投資にどのように関係しているのでしょうか。

固定価格買取制度(FIT)の仕組みと最新の価格

2017年4月に施行された改正FIT法において、「太陽光発電事業者は、送配電事業者(※北海道、東北、東京、北陸、中部、関西、中国、四国、九州、沖縄電力各社)から出力抑制やその他の協力を求められた場合には、これに協力することが必要である」と定められました。

原則、全ての太陽光発電施設では、出力を制御する機器を取りつけてこの制御に対応しなければいけないのです。この機器を取り付けることで、「出力抑制の協力」を電力会社が発動した際には、自動で制御されることになります。そもそも遠隔地などにある太陽光物件を所有したりした場合は手作業で止めるなどということは不可能ですし効率も悪いので、まだ未対応の方はまずは発電所を購入した販売店に相談してみましょう。

出力抑制はどの程度投資利益に影響するのか?

この記事の2番目「出力抑制と他の発電施設との関係性」で「あまり頻繁ではないが、起こる可能性はゼロではない」ということは書きましたが、では、万が一電力会社が「出力抑制の協力」を発動した場合、ここに文章どのようにしてどれだけの期間、止められてしまうのでしょうか。

2015年1月に再生可能エネルギー特別措置法が改正された際に、それ以前に設定されていた「500kW以上の発電施設において1年で30日まで」という規定から「500kW以下でも1年で360時間」という条件に変更されました。これを「360時間ルール」と呼ばれています。ただし地域によって設定条件が違っていたり、一部例外が設けられたりしているので、太陽光投資に関わる部分(パワーコンディショナーの申請容量が10kW以上の出力)を詳しく見てみましょう。

【低圧・高圧と過積載】

ちなみにパワーコンディショナーの申請容量が50kW未満を「低圧」、50kW以上を「高圧」と分類します。50kW未満のパワーコンディショナーの施設にそれ以上の発電容量になる太陽光パネルを積むことを「過積載」といいます。過積載にするメリットについてはこちらの記事をご参照ください。

【プロの視点】第3回『買取価格の下落と太陽光パネルの過積載』

東京電力、中部電力、関西電力 各管内

10kW以上50kW未満の場合は、2018年7月現在出力制御の対象外になっています。
50kW以上の発電施設は「360時間ルール」が適用になります。

北陸電力、四国電力、中国電力、沖縄電力 各管内

全ての規模の発電施設に「360時間ルール」が適用されます。
ただし<電力系統へ接続申込が接続可能量(「30日等出力制御枠」と呼ばれています)を超えた際、それ以降に接続申し込みがされた全ての設備に、発電ボリュームにかかわらず「出力抑制の協力」発動時に無条件無保証で出力制限>されます。(これを「指定ルール」と呼んでいます)

「電力系統へ接続申込が接続可能量を超える/30日等出力制御枠」とは、各電力会社が設定している、接続を受け入れている太陽光発電施設からの電力供給量のボーダーラインのことです。参考として中国電力では太陽光発電で発電される電力の受け入れボーダーラインを660万kWに設定しています。

北海道電力、東北電力、九州電力 各管内

全ての発電施設に「指定ルール」が適用される

上のように、地域によって違いますが、万が一抑制が始動したとしても、止められすぎないような設定になっています。多少の地域差はありますが、これから先、再生可能エネルギーを拡充していく意味でも、むやみやたらと止めることはないと考えられますし、2番目の項目で示したとおり、止める電源には順番があります。さらに太陽光発電のなかでも大きい発電所から制御されると予想されるので、なかなか止められることはないでしょう。

【プロの視点】第2回『太陽光発電投資のリスクと出力抑制について』

それでもちょっとでも不安を回避したいという方には、出力抑制で出る損失を補填してくれる保証制度があります。

出力抑制補償でリスク回避

保険会社から、太陽光投資運用中に出力抑制によって出た損失を補填してくれる商品がリリースされています。いくら可能性は低いといってもやはりリスクヘッジは取っておきたいという、(太陽光投資を考えるということは)安定重視の投資家さんにも、うってつけの商材です。太陽光投資を始める際には、ぜひ一度検討してみてください。

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