少子高齢化からくる生産年齢人口減少問題〜年金受給のほかにどんな影響があるのか

みなさんご存知の通り、日本は少子高齢化が進んでいます。なぜここで少子化、高齢化を取り上げるのかというと、ご想像の通り年金問題に直結しているからです。年金問題についてはお金だけにフォーカスされがちですが、そのバックボーンは少子高齢化なのです。新型コロナウイルス禍などの状況下で、現代の日本に住んでいる私たちの仕事はどのように変化していくのでしょうか。

より詳しく学びたい方はWeb無料セミナーもご視聴ください


【セミナー案内】買取制度対象物件がもう増えない今、太陽光発電投資の意義とは?

生産年齢人口が減少すると、日本経済はどうなるのか

生産年齢人口とは、15歳以上65歳未満にあたる人口のことをいい、この中でも労働する能力と意思を持った人たちは一般的に労働力人口に、それ以外を非労働力人口に分けられます。


出典:総務省

上のグラフを見ていただくとわかる通り、2005年あたりをピークに、年々総人口とともに生産年齢人口が減少していて、働き盛りの世代が今後も減少していくことが予測されます。

現在、新型コロナウイルスの影響で求人倍率は1.39まで下ったとはいえ、今後も中小企業の過半数は人手不足になると予想されていて、求人難に対策を行う必要が出てきている状況です。

生産年齢人口の減少問題に当たって、現在では様々な解決方法が考案、実施されています。高齢者・女性労働力の有効活用、外国人労働力の受け入れ拡大、副業の推進などです。今後もこのような社会とうまく向き合っていく方法を模索し続けなければなりません。

私たちの仕事に与える影響は

では、働き盛りの世代が減少すると、私たちの職場はどのように変化していくのでしょうか。注目されているのは「労働生産性の向上」です。高齢者や外国人を雇って、不足している労働力を補うことにも限界があるため、AIなどのIT技術を駆使して生産性を高める風潮が出てきています。

例えばJR東日本のコールセンター業務では、IBM社が開発したAIである「Watson」を導入したことで、電話応対にかかる時間を一件あたり3割減らしたという事例があります。これは、問い合わせの音声を文字データに変換してAIが分析し、回答候補を探し出してオペレーターに提示することで、電車の運賃や発車時刻などを聞かれた際にオペレーターが素早く答えられるようにすることを目的として導入されました。

他にも、自動運転によるロジスティクスに関わる運転手の削減や、ドローンを用いた配送の効率化など、IT技術が労働者の代わりとなって働けるような研究・開発は着々と進められています。

このように、各企業ではIT化を進めることによって作業効率を高めていき、生産年齢人口の減少に対応していく傾向が出てきています。近い将来、みなさんの会社でもコンピュータが24時間稼働し、私たちの代わりに仕事をやってくれる日が来るかもしれません。

少子高齢化に、他の国ではどう対処しているのか

日本で少子高齢化が進んでいることはみなさんご存知かと思います。少子高齢化が社会に与える影響は非常に大きなものであり、毎日のようにそういったニュースを目にします。

しかし、これは日本だけの問題ではありません。他の国はどのような対策を行い、どうやって改善してきたのでしょうか。もし成功事例があるのならば、日本も参考にできることがあるかもしれません。

日本以外の国ではどのくらい少子高齢化が進んでるのか

医療技術の発展などにより、世界中で高齢化が進んでいる傾向がありますが、日本は特に進んでいます。以下は世界各国の高齢化率を内閣府がグラフ化したものです。


資料:UN.world population Prospects:The 2015 Revision ただし日本は、2015年までは総務省「国税調査」 2020年以降は国立社会保証・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果による。(注)先進地域とは、北部アメリカ、日本、ヨーロッパ、オーストラリア及びニュージーランドからなる地域をいう。 開発途上地域とは、アフリカ、アジア(日本を除く)、中南米、メラネシア、ミクロネシア及びポリネシアからなる地域をいう。
出典:内閣府

欧米諸国と比較しても、近隣のアジア諸国と比較しても、日本は最も高齢化率が高い国であるということがわかります。

日本では医療技術の発展によって、平均寿命が高まっていることのほか、1971年から1974年にあった第二次ベビーブーム(団塊ジュニア)世代が50代になっているため、10〜15年後に一気に高齢化が進んでいくことになります。

次に少子化について見ていきます。少子化を見る指標として「合計特殊出生率」というものがあります。これは「1人の女性が産む子供の人数の平均」を表しており、合計特殊出生率が2.0の国があるとすると、その国の女性は平均2人の子供を産むということになります。


資料:諸外国の数値は1959年までUnited Nations “Demographic Yearbook”等、1960年〜2015年はOECD Family database、 2016年は各国統計、日本の数値は厚生労働省「人口動態統計」より内閣府作成。 2020年以降は国立社会保証・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果による。(注)2016年のフランスの数値は平成30年5月16日現在で暫定値となっている。
出典:内閣府

日本の合計特殊出生率は2016年時点で1.44となっています。人口置換(亡くなる人と生まれる人の入れ替わり)水準が約2.07と言われていますので、日本以外の先進国も少子化が進んでいることがわかります。韓国では2018年の合計特殊出生率が1.0を切ったとして話題になりました。

このように、特に先進国では少子化または高齢化が進行しており、解決しなければならない問題となっています。日本は少子化・高齢化ともに世界でも進んでしまっているため、迅速に対応する必要がありそうです。

なぜフランスでは出生率が回復したのか

フランスは早い時期から少子化に悩まされていた国の1つでしたが、様々な支援を導入したのちに回復していきました。1994年には1.66に低下していた合計特殊出生率も2010年には先進国では例外的な2.03にまで上がっています。

具体的に行なわれた政策として、保育支援を充実させたことです。初めは家族手当などの経済的支援が中心に行われてきましたが、その後に保育支援に目を向けたことが出生率回復につながったと考えられています。

例えば、3歳までの子供を預けることができる認定保育ママ制度を充実させることで、従来の保育所不足を解消しました。フランスは女性の就業率が高いため、これらの支援は効果的だったのです。

また、男性の出産休暇も改善されました。父親として子供を育てるノウハウを十分身につけるため、子供が生まれた場合は11日の出産休暇をとって育児を行い、奥さんの負担を減らす政策を打ち立てたのです。

これらの他にも多くの保育支援や、経済的支援を行うことでフランスは少子化を食い止め、合計特殊出生率を実現させたのです。今後は多くの先進国でこれらの政策がお手本となっていくでしょう。

編集後記

今回は生産年齢人口の減少問題から、私たちの仕事がどのように変化していくのかを考えてみました。今回扱った部分以外でも、人口減少は私たちの生活にたくさんの影響を与えています。そういった社会問題に関心を持つきっかけから、ご自身の将来プランや年金を含んだ資産管理を考えてほしいと思います。

太陽光投資物件を見る

あなたにオススメの記事