太陽光発電は買い取り終了? あのニュースの真相

ネットやテレビのニュースを見ている人のなかには、「太陽光発電」は良くないと思っている人が多いことでしょう。大雨で山肌ごと滑落した発電所とか、太陽光発電で発電された電気は買い取られなくなるとか…。

それらのニュースは少し言葉足らずです。限られた文字数ですから、事細かに伝えられないとは思うのですが、それらのニュースの裏にはちゃんと伝わっていない真実があります。今回はそれをご説明しようと思います。

「法改正でFITがなくなる」ニュースの真相

新聞各紙でも取り上げられていましたが「太陽光発電買い取り終了へ…」のニュース。ご覧になった方も多いと思います。実際、運用中の方がどうなるのかと心配になられてお問い合わせをいただいたほどです。

しかし、「買い取り終了」というのは、全ての太陽光発電所から買い取りが強制的に停止されるのではありません。

10kW以上50kW未満規模(低圧)の太陽光については、「2020年ごろに法改正がされてその改正法が施行されたあと、新設される認定FIT物件がなくなる」ということです。

つまり「現在運用されている太陽光発電所や、電気の買い取り単価が確定している(=認定を受けた)販売中・施工中の物件は、この法改正の影響を受けない」が真実です。

ニュースのタイトルを額面通りに受け取ると、この真実にはたどり着けません。

山肌が崩れて太陽光発電所ごと崩壊

次に山肌ごと滑落した太陽光発電所が映し出された「2018年西日本豪雨」のニュース。あれだけセンセーショナルな絵面を出されると、インパクトが強すぎてとてもじゃないけど、太陽光発電が良いものだとは思えないでしょう。

あのニュースに関しては滑落した事実もあるし、それが真実であることは確かです。しかしひとつ言えることは、あの滑落した太陽光発電所で全てが語れるわけではないということです。

ひとつは太陽光発電所を建てる際に、あのような斜面にそのまま施工することがおかしいということ。立地は太陽の日射量や日射時間とともに、地盤の強弱、災害危険性などを考慮されるべきです。

もうひとつは、施工状況がどうだったのかということ。通常平地に建設する場合は、スクリュー杭工法という技術で建てられます。この工法は平地で軟弱地盤でない土地に有効で、コンクリート杭工法よりも、短時間かつしっかりとした深度で太陽光パネルを載せる架台が施工できます。

ただし、あのような山肌ごど地すべりするような土地では向いていません。どうしても斜面に建てるというのであれば、段々畑のように階段式に整地するか、より強固なコンクリート杭工法を用いるべきですが。おそらくそうではなかったと推察されます。

自然災害が怖いのは太陽光発電だけではない

もうひとつ、大きな災害で記憶に新しいのが熊本地震です。日照環境が良いことから太陽光発電所は九州地区に多く、太陽光発電所も数多く存在します。もちろん熊本県もご多分に漏れずです。

とくに被害の大きかった熊本県の益城(ましき)地区ですが、そこにもいくつかの太陽光発電所が存在しています。しかしながら大きな被害もなく、通常通り運用されています。それにはいくつかの理由が存在しています。

まず太陽光発電所は地面から高さがなく、揺れに強いということ。次に基本的に平地に建設しているので、がけ崩れなどの被害がないこと。もうひとつは、施工不良などがないか販売前にしっかりとしたチェックをしているということです。

もちろん天災は、いつどんな状況で起きるかわかりません。だからこそ、万全の備えをしていないと、あの山肌ごと滑りおちた発電所のようになってしまうのです。これは太陽光発電に限ったことではなく、あらゆることに言えます。

電力会社が電気を買ってくれなくなったら赤字になる

太陽光発電のニュースはまだあります。次は九州電力管内で電気の買い取りを一時的に制限する「出力制御(または出力抑制)」についてです。

「出力制御」は、その電力会社の管内で需要と供給のバランスが保てなくなる恐れがあるときに発動されるもので、多くの場合は需要の見込みが高すぎたときに起きます。たとえば、「夏場にクーラーなどで電力需要が高いと見込んでいたのに、予想に反して涼しくてあまり使われなかった」というようなときにも起きるのです。

余談ですが、電力事情は需要と供給のバランスが保てなくなると大停電を起こします。2018年におきた北海道胆振(いぶり)東部地震で停電が起きたのも、それが理由です。

電気の買い取りが止まるということは、太陽光発電所の売上があがらず赤字になる恐れもあります。それは投資をしている人にとって、大きなリスクです。しかしそれは回避する方法があります。

「出力制御補償」という保険に加入することです。万が一のときに備えるなら保険商品が一番です。ほかにも休業補償保険などもありますので、投資を始める際は物件と一緒に検討することをおすすめします。

もうひとつお伝えするとすれば、下の表のように太陽光発電投資の発電所よりも、もっと大きな発電所で電気の出力が大きいもの(火力発電所など)から順に制御されます。

資源エネルギー庁のガイドラインには分かりづらい表現が並んでいますが、要するに大規模な制御が必要でない限り、投資用太陽光から買い入れが止まるということは少ないのが実情です。

電力のバランス調整のために出力制御される際の順番

  • a. 大手電力会社があらかじめ確保する調整力(専属の火力発電所など)及び大手電力会社からオンラインでの調整ができる火力発電等の出力抑制
  • b. 大手電力会社からオンラインで調整ができない火力発電等の出力抑制

ーa. b.で調整がつかない場合は以下の順序で抑制されるー

  • c. ほかの大手電力会社と繋がった連系線を活用した広域的な系統運用
  • d. バイオマス電源の出力抑制
  • e. 自然変動電源(太陽光・風力)の出力抑制
  • f. 電気事業法に基づく広域機関の指示(緊急時の広域系統運用)
  • g. 長期固定電源の出力抑制

※参考資料出典:資源エネルギー庁

20年間のFIT売電が終わったあとはどうなるのか

最後は売電期間終了後の話です。

「2019年問題」または「卒FIT」という言葉を聞いたことあるでしょうか。これは住宅用太陽光発電の余った電気を買い取ってもらっていた、住宅用FITが続々終了していくというものです。住宅用FIT制度は10年間の固定だったのですが、2009年に始めた人は2019年の秋から続々買い取り期間満了になるのです。

そのあと電気は自家消費するしかないと思われていましたが、大手電力会社以外(新電力)でも電気を買い取る動きが加速してきました。これは太陽光で発電されたクリーンな電力は必要とされているからで、大手電力会社も7〜11円の価格で買い取るというのがメジャーです。

株式会社メディオテックの太陽光発電投資 日本におけるエネルギーバランスの推移

※データ出典:総合エネルギー統計

投資用の太陽光もそれと同じようなことが見込まれています。島国であるがために自国で電気エネルギーを産出しないとならない日本にとって、あらゆるエネルギーミックスが必要だということと、「RE100」などの世界規模の環境イニシアチブに日本の大手企業も参画していることが挙げられます。

もちろん2032年のことなので確定したことは言えませんが、そのような理由でどこかの企業に電気を買い取ってもらうことが可能になると思われます。

太陽光投資物件を見る

あなたにオススメの記事

記事一覧へ